ドコモの格安通信ahamo発表、2020年冬の通信会社プランとの比較(MNO/MVNO)

総務省がケータイ通信料金が高いと言って、価格引き下げをケータイ3キャリアに要求しています。

その一方で、すでに格安SIMを提供するMVNOと呼ばれる通信会社があるのに、そちらへの移行割合は決して多くありません。

そもそもMVNOってなんなのか?格安通信会社なんて呼ばれているので「安かろう、悪かろう」なんじゃないの?って思う人も多くいるようで、ちゃんと理解して自分に合ったプランを探さないと毎月のお金がもったいないことになります。

以前のツイートでも、こういうつぶやきをしたのですが、ちゃんと比較しないと全然わからないですよね。汗

そこで、MVNOってなんなのか?いわゆる通信キャリア、第四のキャリアと呼ばれている楽天モバイル、などを横並びで比較し、自分に一番あったプランのある通信会社を選ぶ基準を解説します。

MVNOの定義も書いているので、ご存知の方は、「MVNOプラン比較」から読んでください。

格安SIMとよばれる、MVNOとは?

MVNOとは、Mobile Virtual Network Operatorの略で、日本語では、「仮想移動体通信事業者」のことです。

移動体通信事業者というのは、ドコモやau、ソフトバンクのことなので、仮想とはどういうことなの?となりますよね。

要は、通信事業者だけど、通信基地局は持っていない企業のことなのです。

じゃ、どうやって通信するの?というと、ドコモのような移動体通信事業者(MNO: Movile Network Operator)の基地局など通信設備を借りて通信するのです。

通常、通信事業者というといわゆるインフラ産業なので、通信設備を設置するところに巨額の投資が必要になるものです。しかし、MVNO事業者はこの投資がいらないので、安くサービスを提供することができます。

でも、そんな美味しい話あるのでしょうか?

MNVO事業者は、それぞれドコモ、au、ソフトバンクの通信回線を「間借り」する感じになるので、借りるお金はそれぞれの通信キャリアに支払います。その際、通信できる総量を決めて契約するのです。そうでないと、パンクしてしまいますよね。

その総量が多いと、MVNO事業者はギガの多いプランをつくることができ、少ないと当然少なくなります。

また、総量が少なくても、戦略的にギガの多いプランを作る場合もありますが、利用者が殺到すると総量を減らしたり、追加でキャリアから間借りしたりしなくてはいけなくなります。

この辺、各MNVO事業者から出ているプランの内容をよく見ていないと、混んでる時間帯(つまり自分が使いたい時間帯)にあまり使えないということも起きてしまうので要注意です。

電話をするなら通信SIM、パソコンで使うならデータSIM

SIMには、「音声通話SIM」と「データSIM」の2種類があります。違いは簡単で

  • 音声通話SIM:電話(音声通信)+データ通信ができ、電話番号が持てる
  • データSIM:データ通信のみ

となります。データSIMでも、音声をデータにして、データ通信として電話を実現しているような、「050Plus」や「LINE」「Skype」などもあるので、それほど不便はしないかもしれません。

ただし、最近、個人情報の漏洩問題などが話題になることが増え、「二要素認証」を行うサイトが増えてきています。

二要素認証とは、ID/パスワードの他に、登録している電話番号に「SMS」を送るなど、「二要素目」の認証を追加することで、ID/パスワードが漏洩しても簡単には悪意の第三者がログインできないようにするというものです。

上の例のように、SMSは二要素認証ではよく使われているのですが、これが、音声通話SIMでないと電話番後がないため使えないという問題がおきます。

しかし、この不便さを回避するために、最近では、「データSIM」に「SMS」を付加した、「SMS付きデータSIM」なるものの一般的になってきています。

これから、MVNOを契約する方は、「電話なんかLINEで十分」と思っている方も、SMS付きのプランを前提に考えた方が良いと思います。

海外パケ放題のサービスが使えない

私はこれまでドコモを使っていたのですが、海外取材のための出張が多いため「海外パケ放題」という、海外での通信利用サービスを使ってます。(auでは「海外ダブル定額」、ソフトバンクでは「海外パケットし放題」という名称で同様のサービスがあります)

たまにしか海外に行かない人には関係ないかもしれないですが念の為解説しておきます。

私は空港でWifiルータを借りていた時期があるのですが、この場合、実際に海外に滞在している期間ではなく、出発日から到着日まで料金を払わないといけないので、時差をが考えても割高になります。

例えば、ホノルルに行く場合、到着すると1日前になり、帰るときは1日後になります。金曜日の夜にホノルルいきの飛行機にのると、到着した時のホノルルは金曜日、そして、一週間滞在して金曜日にホノルルを出ると、帰国したら土曜日になります。

この場合、料金は金曜日から土曜日までの8日分となり、1日損することになります。

しかも、日常的な動画視聴やオンライン会議などを行っていると、案外パケット制限に引っかかるケースも多かったのです。

空港で貸してくれるWifiルーターは大抵の場合ギガ制限がかかっていて、無制限のプランも最近は登場していますがそれだと割高です。

ちなみに、Global Wifiをアメリカで使い、4G回線、パケット無制限のプランだと1日のレンタル料金は早割をつかっても2,170円です。ドコモで24時間980円です。さらに、今回発表されたahamoではこれもコミコミになるというから驚きです。

結果、私の場合、海外パケ放題に入ってからは、こういった悩みも無くなりました。

もし、海外出張が多い方で、普段のパケット利用量が多い人は、MVNOにしてしまうとWifiルータを借りるか、海外で格安SIMを契約するかどちらかを行う必要があります。

ちなみに、海外でSIMを買うと20GB-30GBで3,000円程度の場合が多く、割安にはなるのですが、ドイツやスペインに土曜日の夜の到着便で行った時、到着時はショップが開いておらず、また日曜日はショップが営業していないということもあったので、必ずしもこのやり方がよいとは限らないと思います。

しかも、海外でSIMを買うと、お手持ちのスマホがそれに対応しているか、設定やトラブルシューティングを自分でできるか、という問題もでます。キャリアが運営しているようなショップであれば、設定までやってくれるケースが多いですが、安く済まそうとしてコンビニなどで買う場合は注意が必要です。

また、iPadを使っている人は「Apple SIM」という手があります。

これは、世界180カ国でデータプランをiPad上で購入して利用することができるというものです。特にSIMを購入するという手間は必要ありません。

通常SIMはカード型ですが、Apple SIMではeSIMと呼ばれる、部品がiPadの中に組み込まれています。この部品をiPadの画面で設定するだけで、世界中でモバイル通信が可能になるというのです。

ただし、対応しているiPadとそうでないものがあることには注意が必要です。(Appleの公式サイトで対応状況を見れます)

総務省の発言でよく出てくる、「サブブランド」とは何か?

最近、総務省がケータイ料金を引き下げるよう、ドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアに指示しています。

その際によく出てくる言葉として「サブブランド」という言葉があります。

サブブランドというのは、大手3キャリアが自分で行うMVNOのことです。

auは「UQmobile」を、ソフトバンクは「Yahoo!モバイル」をやっています。そして、今回のドコモの発表では「ahamo」というサービスが提供開始されることになりました。

ahamoはサブブランドなのか、メインブランド(ドコモ)なのか?という議論をよくネットで見かけます。

消費者にとってのサブブランド

消費者にとっては、サブブランドは他のMVNOと同じです。例えばauを使っている人がUQmobileに移動するときは、キャリアを帰る手続きと手数料が必要になります。ここを面倒にすることで、移動を防ごうとしているのです。

今回の発表となるドコモのahamoでは、手続き入るものの移動に対してのコストはかからない、つまり、通常のプラン変更と同じ位置付けでできることが特徴になります。

しかも、利用者にとっては大手キャリアが直接運営しているので、安心感があるといえるでしょう。

ケータイキャリアにとってのサブブランド

ケータイキャリアにとってのサブブランドは、消費者の場合の逆で、プラン変更してほしくないけど、そのまま他の企業が経営するMVNOに移られるくらいなら、自社内の別の事業として始めた方がよいという考えでわざわざ2つも事業をやっているのです。

今回のahamoも、おそらくはサブブランドで切り抜けようとした痕跡があるという人が多いのは、こういった事情が見え隠れしているからなのです。

また、メインとなるブランドの値下げを安易に行うと、ギガをたくさん消費する利用者に対するプランが作りにくかったり、5Gのような新しい投資が必要なサービスを実行できないこともあり、メインのブランドとは分けてサービス提供をしているものになります。

上の説明でも書いた通り、そもそも大手キャリアの持っている通信帯域をMVNOにわけているので、これらのサブブランドは他のMVNOに比べて柔軟な価格設計や、プランを作ることが可能にあります。

要は、多くの人にとって必要なプランを、作りやすい環境にあると言えるのです。

総務省は、楽天モバイルのように、メインブランドを安くして欲しいという思惑があったので、当てが外れてしまっている状態であるとも言え怒っていたわけですが、今回のahamoの一見で面目躍如となったともいえるのです。

ついにドコモが20GBで2,980円のプランを発表

引用:k-tai watch(https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1293023.html)

ここ数年、政府はドコモ、au、ソフトバンクに対して、国際比較した際20GB/月の利用金額が高いと指摘してきていました。

それに対して、au、ソフトバンクは前述したように、「サブブランド」という別ブランドを作りかわしている状況でした。

しかし、ここにきてドコモが20GBで2,980円/月のプランを発表しました。

これは、第四のケータイキャリアとされる、楽天モバイルと同じ金額です。(楽天モバイルは使い放題ということだが)

メイン
ブランド
ドコモauソフトバンク楽天モバイル
30GB以上ドコモ
7,150(キャンペーン中で60GBまで)
au
7,650(上限なし)
ソフトバンク
7,480円(50GBまで、一部動画見放題)
楽天モバイル
2,980円(上限なし)
20GBahamo
(新プラン)
2,980円
UQモバイル
3,980円(2021年2月以降)
Y!mobile
4,480円(2020年12月以降)
10GBUQモバイル
2,980円
Y!mobile
3,680円
ケータイ4キャリア価格比較(メインブランド+サブブランド)

ドコモの新プランは、au、ソフトバンクのサブブランドとなる、UQモバイル、Y!mobileよりも安く、後述する比較表を見てもらっても、安いSIMの場合、3GBなどギガがかなり少ないので、利用者が制限されてしまいます。

今回のドコモのahamoサービスの開始は2021年3月からとなるのですが、そこまでにau、ソフトバンクも同等のプランをだしてくることが濃厚です。さらに、楽天モバイルの無料期間がちょうど終わるタイミングでもあるということもあり、本格的に安い料金プランが広がりそうです。

MVNOプラン比較

2020年12月1日現在での、主なMVNOのプランを比較します。(あまりにも複雑なので、随時変更していきます。間違いなどがあった場合、お手数ですがお気づきの方は問い合わせフォームから教えて下さい)

ブランド名データSIM料金通話SIM料金回線速度特徴
ahamo2,980円/月(20GB)ドコモ・通信速度が速い
・5分の無料通話がついてくる
・家族割りなし
・海外82カ国で利用可能
・5G対応
・3G通信できない
UQmobile980円/月(3GB)1,980円/月(3GB)
2,980円/月(10GB)
au・通信速度が速い
・データ容量節約機能でテキストで
 SNS利用無制限
・家族割あり
・iPhone使える
・海外通信なし
・5Gなし
Y!mobileプランなし2,680円/月(3GB)ソフトバンク・かけ放題あり
・海外オプション契約あり
楽天モバイル0円/月0円/月(無制限)楽天・楽天ポイント
・通話したい人
・海外通信あり
・5G対応
・3G通信なし
OCNモバイルone880円/月(3GB)1,180円/月(1GB)ドコモ・音楽ストリーミングフリー
Biglobe Mobile900円/月(3GB)400円/月(3GB)au・エンタメフリー
・YouTube見放題
mineo700円/月(0.5GB)1,310円/月(0.5GB)3キャリア・3キャリアの回線利用可能
LINE MOBILE600円/月(0.5GB)1,100円/月(0.5GB)ソフトバンク?・LINEなどSNS使い放題
IIJmio900円/月(3GB)1,180円/月(1-20GB)au・家族サービス充実
・10年以上の実績
exiteモバイル500円/月(0-10GB)1,200円/月(0-10GB)ドコモ・定額プランと使った分だけの
 プランが選べる
nuromobile300円/月(0.2GB)1,000円/月(0.2GB)ソフトバンク・ギガ切れの時翌月から借りられる
y・uモバイル900円/月(3GB)1,690円/月(3GB)ドコモ・3GBで900円のデータプラン
AEONモバイル480円/月(1GB)1,130円/月(0.5GB)au
QTモバイル800円/月(1GB)1,450円/月(1GB)ソフトバンク・6ヶ月は月額料金が安い
LIBMO480円/月(低速無制限)1,180円/月(低速無制限)ドコモ・通信費をとにかく安くした人向け
HIS Mobile180円/月(0.1-30GB)900円/月(0.1-30GB)
J:COM MOBILE900円/月(3GB)980円/月(0.5GB)・J:COM利用者は値引きあり
Links Mate250円/月(0.1GB)970円/月(0.1GB)ドコモ・+500円/月で65個のサービスが
 使い放題
b-mobile190円/月(0-15GB)990円/月(0-15GB)
スマモバ4,480円/月(3GB/日)1,980円(3GB)
Repair SIM500円/月(1GB)1,280円(1GB)・修理代10%オフ
・よくスマホを壊す人向け
MVNO事業者プラン比較(2020年12月1日現在、随時変更します)

通信が安定して高速なMVNO事業者

ahamo、UQモバイルやY!mobileなどは、サブブランドであるが故に、通信も安定していて高速です。楽天モバイルについては、まだまだ対応エリアが限られているので、どこでもつながるという状態にはなっていません。

通信が安定しているかどうかは、MVNOがMNOからどれくらいの容量のデータ送信を借りているかによります。その容量に対して利用者数が多くなると当然スピードが遅くなったり安定しなくなったりします。

これは、マンションで通信が引かれている場合に、多くの人が使う時間帯では繋がりが悪くなる現象と同じです。

弱小MVNOでは、売り上げも少ないため、データ容量を大量に仕入れることができないため、通信が安定しない可能性が高く、「安かろう、悪かろう」となるケースが多いものです。

しかし、MVNOでも潤沢な資本を背景にしていたり、利用者が多く仕入れにお金が回せる企業は、国内利用を前提とするのであれば、ドコモやau、ソフトバンクのサブブランドと同等の通信品質を担保することも可能です。

コスパの良さそうなMVNO事業者

今回のドコモの発表で、新ブランドahamoは、20GBで2,980円なので、ダントツコスパがよいということになります。

これまでは、UQモバイル、Y!mobile、Biglobeあたりがコスパが良いと言われていましたが、一気に状況が変わりそうです。

これに関しては、おそらく今後auやソフトバンクの追従もあるのではないかと思います。

ahamoのサービス開始時期が2021年3月なので、その頃までに他のキャリアがどういうプランを打ち出してくるかを様子見して決めるのが良いでしょう。

2020年12月現在で、MNOを含めた通信料金はどうなるのか?

よほど動画を見る方や、日常的なパソコン仕事にディザリングを活用する人でなければ、現状20GBのサブブランドのプランを使うのがよさそうですが、今後5G通信が当たり前になったとき、データ通信のあり方がどう変わるか、我々消費者の暮らしの中に必要なサービスとして入ってくるかも関係しそうです。

以前動画サービスが始まったころ、「ケータイで動画なんてみない」という人が多かったのですが、ご存知の通りinstagramやTwitterで動画が流れていたり、YouTubeを日常的に見ている人も増えてきています。

カメラの性能もよくなり、個人でも動画を撮影してSNSで友達と共有する人もどんどん増えてくるでしょう。

そうなってくると、20GBというラインが果たして妥当なのかどうかという議論も出てきそうです。

もちろん、これまでどおり、1GB未満の通信しか行わないので1,000円/月くらいのMVNOがよいという人もいると思います。また、SORACOMという企業では主に法人向けの通信サービスを提供しています。こういった、さまざまなニーズに特化した通信サービスを提供することができるのもMVNOの良いところだと思うので、MVNO事業者にはもっと尖ったプランを打ち出してくれることを期待します。

まとめ

複雑なのはよくよくわかっていたMVNOを含めた料金プランですが、実際にまとめてみると、本当に複雑ですね。

こんなに複雑だと、利用者は思考停止するし、ネットや家電量販店で偶然出会った情報で決めてしまうことになるでしょう。

この状態では、結局広告費をたくさん捻出することができる企業(=既存の通信キャリア)がどうしても有利になるわけで、MVNOは、「安そう」というイメージだけでなく、もっとシンプルなプランを打ち出して、メリットやデメリットをわかりやすくしなければ、既存の通信キャリアに淘汰され、結局自分に合わない、割高なプランをつかまされることになります。

小泉耕二

1973年生まれ。IoTNEWS代表。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。Yahoo! ニュース公式コメンテーターなど。

大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。

著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来予報」がある。