DXとデジタル化の違い

最近デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が話題になっている。DX推進部などができた企業も多いようです。

そういった企業に話を聞いてみると、いわゆる「デジタル化」と同じことを語っている場合がほとんどだ。これは、IoTの時も同じで、既存のビジネスにビジネスを取り込もうとしているだけなのです。

単なるデジタル化ではないことくらいはわかっている方も多いのですが、結局デジタル化の話になってしまうのはなぜでしょう。

IoTによってリアルの様々な出来事が、デジタル空間上にコピーすることができるようになってきました。デジタル空間上では、物理的制約がないため、様々な状況変化にたいして、未来がどうなるのかというシミューレーションが可能となります。

DXとは、デジタル空間上でのシミューレーションの結果をリアルに反映することだと考えるとわかりやすいでしょう。

90年代の経営戦略では、リアルの状態など取得するすべもなかったので、トップダウンでビジョンを作り、それを実現するためのビジネスプロセスを考え、BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)として現場に落とし込もうとしていました。

しかし、こういったアプローチは、競合が誰なのか、市場はどう形成されているか、などが単純でわかりやすい時代はよかったのです。

現在のように複雑な社会で、デジタル技術を駆使した企業がどんどん既存産業に入り込んでくる状況では、不確実性が高すぎて、ヒトがイメージすることは現実的ではなくなってきているのです。

そこで、リアルで起きていることをすべてデジタル空間上にコピーし、いろんな状況をシミューレションすることで、自社の方向性を見極め、細かな変化にも細かく対応していく備えをすることが必須となるのです。

現状では、まだ、DXが実現できている企業がすくないので、デジタルネイティブな新興企業にしかこういった考え方が浸透していないわけですが、そういった企業に駆逐された企業がその理由を研究し出していて、経営そのものが古いことに気づきだしているという状態です。

GAFAなどの勃興は、インターネットの世界だけで活躍していたため、既存産業のプレーヤーはあまり意識できていなかったはずです。しかし、UBERやAirbnb、TESLAなど既存産業を脅かす企業もどんどん登場していることに危機感を感じるべきです。

DXは、デジタル化ではない、企業全体をデジタルネイティブに生まれ変わらせることであり、簡単なことではないですが、実現できないとデジタルネイティブ企業に駆逐される産業分野は今以上に増えるでしょう。

小泉耕二

1973年生まれ。IoTNEWS代表。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。Yahoo! ニュース公式コメンテーターなど。

大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。

著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来予報」がある。