NTTが2030年を見据えて推進する次世代コミュニケーション 「IOWN(アイオン)」とは

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、光、クラウド、エッジコンピューティングを包括した、新しい社会基盤を作るとして、2030年に向けてNTTが推進している取り組みです。

CES2021で、「IOWN構想によって超高速通信やデジタルツインなどが実現することで、オンライン授業や遠隔医療、スマート農業などが今までとは違う次元で実現できる」としていて、全く新しい通信環境が生まれるのかとワクワクしております。

ネットワークだけでなく、コンピュータで使われるチップも、これまでのものとは違う、「光学融合技術」なるものを取り入れた、新しいコンピュータを実現すると言っています。

IOWNができるとどうなるのか

すごい高速ネットワークが実現されると、例えばこういうことができるとしています。

プロ野球などのスポーツ観戦において、スタジアムでの出来事を自宅にいながら「リアルタイムで」見ることができる。そして、自宅であがった歓声は、そのまま「リアルタイムに」スタジアムやそれぞれのご自宅に届く。

つまり、スタジアムにいる感覚を自宅で味わうことができるのだということです。

「再現」を超えたインタラクション

NTTのホームページでは、インターネットにおける「爆発的な情報量の増加」と、「消費電力の増加」に対して、新しい考え方、新しい技術で、リアルタイムな通信を実現するとしています。

リアルタイムだと何がいいのかというと、現実世界と仮想空間(デジタル空間)を自由に行き来できます。

上であげたスポーツ観戦の例では、現実世界で起きているアスリートの躍動を、仮想空間上で表現し、それを現実世界の我々が感じとる。そして、現実世界であげた歓声が、仮想空間上に響き、それが現実世界の我々やアスリートに共有されることで、あたかも現実世界のスタジアムでスポーツ観戦をしているような興奮を味わうことができるというのです。

これは、あくまで「再現」でしかありません。

しかし、ここにさまざまなデジタル情報を加えていくことで全く新しい体験を生み出すことも可能です。

わかりやすくスタジアムの例を続けると、例えば、アーティストがスタジアムでライブをしている。でも、コロナ禍で自宅観戦となっている。

アーティストはステージで踊り、歌うわけですが、データが仮想空間を通って自宅に来る間に、別の演出を加えることが可能になります。

宇宙空間で歌う演出かもしれないし、すごい数の花火が打ち上げられている演出かもしれません。

デジタル空間上では、さまざまなデータの足し算と引き算が可能にあるので、「ありえない演出」も可能になるのです。

WOVEN CITYで体験できるか

この構想が実際に実現されると、NTTの発表している構造のように、街のあらゆるデバイスの状態をリアルタイムで取得、仮想空間上に展開することが可能になります。

IOWN

これができることで、リアルタイムに街の状態を把握し、先読みした行動が可能となります。

例えば、街中で人が転倒したとき、その状態をリアルタイムに把握して、救急車の手配など必要なことをすぐに行う。そして、救急車両は道路を走る車が街の指示によって道をあけることで、渋滞に巻き込まれることなく、病院に到着する、といったことが可能になるでしょう。

遠隔医療なども、現状の通信ではスピードと安定性を完全に担保することができないので、技術的には遠隔手術なども可能となっていますが、実際には手術中に通信が途切れる可能性などを考えるとちょっと怖いところです。しかし、こういった高度な通信環境が整うことで、遠隔医療もかなり現実的になると思います。

こういった先進的な街を実現するには、どこかの街でテストをする必要があるわけですが、実はトヨタとNTTが提携して、富士山の麓にWOVEN CITYなる新しい街を作る計画を進めています。

こういったまったく新しいコンセプトの街で、IOWNは磨かれ、いずれ我々の生活にも入ってくるのかもしれません。

その時は、今全くイメージができていないような体験もできそうです。

小泉耕二

1973年生まれ。IoTNEWS代表。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。Yahoo! ニュース公式コメンテーターなど。

大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。

著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来予報」がある。